蝶ヶ岳、徳本峠

IMGP2154

雪煙に包まれる蝶ヶ岳

 

 蝶ヶ岳(2,677m)

登山日
2012年2月26日~29日
(BC型登山3泊4日)

ルート

一日目
沢渡P~(タクシー)~中の湯~上高地~徳沢

二日目
徳沢~横尾~蝶ヶ岳~横尾~徳沢

三日目
徳沢~明神~徳本峠~明神~徳沢

四日目
徳沢~上高地~中の湯~(タクシー)~沢渡P

行動時間 27時間
歩行距離 48.8km

山行まえがき

今回の有休は今シーズンの冬期登山の締めくくりとして普段の休みではなかなか行けないアプローチが長いところを候補に上げて計画を練ることにした。
しかし、テントを背負っての縦走に耐えうる体力と技術がないので、土地勘がある徳沢を拠点として日帰り登山することに決定した。
毎回の山行のように直前にならなければ休みの予定が立たない仕事なので、装備の準備だけしておき、前日出発前にザックに荷物を詰め込むスタイルを取ることになる。
こんなもんだと適当なところで割り切って、サプライズ込みの登山として楽しむようにしている。
ということで今回の山行を振り返ることにする。

登山概要


2月25日(前日)

2100 自宅出発

いつものように適当に車に荷物を詰め込み、近所のスーパーに寄ってカロリーメイトやウイダーインゼリーをリッチに沢山買い込み上高地に向け出発する。今回のルートは中央道の松本ICで下りて西に向かってひた走ることになる。

2月26日(一日目)

0230 沢渡駐車場着

現地に着いたが冬季用の駐車場が分からない。橋を渡ったところに第2駐車場があり、数台登山者のものと思われる車が停まっている。ここで3時間ほど仮眠することにする。

沢渡第2駐車場 

沢渡第2駐車場 
冬期は無料となる。

0720 沢渡駐車場発

一度ザックの中を空っぽにして再度詰め直す。車中泊でシュラフやガスコンロなどを使うのでザックに入れていないから詰め直す手間が発生してしまう。大きい車なら車中泊用とは別にできるがジムニーなので仕方ない。
この詰め替え作業で車に置き忘れてしまう装備も出てきてしまうが、それは臨機応変に対応するしかない。
予め調べておいたタクシー会社に電話するが繋がらない。意を決して中の湯まで歩こうとしたところ、絶妙なタイミングでやって来る。ラッキーだ。早速タクシーに乗り込む。

釜トンネル入口

釜トンネル入口

0730 中の湯着 

沢渡からタクシーで中の湯まで約10分。料金は片道3,000円くらい。当初は節約のために歩こうかと考えていたが、徒歩の場合、約2時間掛かるそうなので必要経費だと割り切りることも大事だと思うw
しかし、タクシーからの車窓から眺めていると、除雪した雪が路肩に寄せられているので、安全に歩くスペースはほとんどないといっていい。しかも大型トラックなども通るので危険と思われた。山よりこの雪道を歩くほうがはるかに危険だと感じるwww

完全装備のザック

完全装備のザック

中の湯に到着してトンネルの手前で身支度を整え出発する。

釜トンネル出口側 

釜トンネル出口側

除雪された道 

除雪された道

大正池

大正池

雪崩の跡

雪崩の跡

上高地バスターミナル

上高地バスターミナル

0915 バスターミナル着

釜トンネル内は照明が点灯しているので、ヘッドライトは不要だ。傾斜が結構あるので汗をかかないようにスローで進む。
トンネルを抜けると別世界が広がる。大正池手前の分岐までは工事用の車両が通るので道路は除雪されているが、凍結しているのでアイゼン装着か慎重に歩くことになる。
また、トンネル出口から大正池ホテルまでは雪崩の危険地帯なので休憩せずに先を進むのがいいだろう。 大正池手前の分岐はやや広いスペースがあるのでここで休憩するのはOKだと思われる。分岐からは、除雪されていない道を進むことになるが、本日は日曜日でトレースがばっちり付いているので、道を外さなければどうということはない。

バスターミナル

バスターミナル

河童橋手前

河童橋手前

河童橋

河童橋

0940 河童橋着

バスターミナルの大きな屋根の下はあまり雪が積もっていないので、いい感じの休憩スペースとなっている。
冬季用のトイレがあるので有難く使わせてもらう。
河童橋に到着するも視界が悪く、岳沢がボヤケテ見える。近くの小川を覗くと青々とした藻がいっぱい生えているのが見える。

明神岳

明神岳

明神館

明神館

1030 明神着

明神までの道もトレースがはっきりしている。最近はやりなのかスノーシューを履いた登山者とすれ違う。夏道沿いに進む。

明神から徳沢へ

明神から徳沢へ

徳沢手前

徳沢手前

1145 徳沢着

徳沢までもトレースがハッキリしている。ほとんど夏道でOKだが、雪崩跡のため一部梓川沿いに歩いた方が良い場所もある。

テント設営

テント設営

徳沢テントサイト

徳沢テントサイト

本日はここまで。早速ベースキャンプを設営することにする。
ちょうどテントの跡地があったのでそこを拡張してエアライズ2の外張り付を張った。自作の竹ペグを効かしてしっかりとテントを張る。しわがないようにピッチリ張るのが男の美学w

インターネットで下調べしたように水場はないので綺麗な雪をゴミ袋に入れて確保する。トイレはテントサイト付近に公衆の冬期トイレがある。大変ありがたい。
テントの中に入り荷物を整理するとやることがないのでとりあえず昼寝をする。
夕方に起きて晩御飯を作りそして寝る。最近の山行にはアルコールを持参していないのでやることがない。
翌日の大幅なパフォーマンスの低下を考えれば仕方ない。禁欲することによってピークを踏んだ時の喜びが倍になるのかな?

2月27日(二日目)

0300 起床

睡眠時間十分のため、昨日の疲れは抜けている。テントを抜け出ると満天の星空だ。
寒いがテンションを上げて食事を済ませ、サブザックに荷物を入れる。

0445 出発

荷物が軽いのでいい感じのペースで夏道沿いに進む。
横尾手前で雪崩の跡を避けるために河川敷に出て歩く。積雪量が膝下まであるのでワカンを装着し進む。周りは静寂に包まれ動くのは自分のみ。薄明かりの明神岳の美しさに圧倒される。

横尾到着

横尾到着

0620 横尾着

横尾の手前でワカンを履くか迷ってしまったので時間を大幅にロスする。横尾の避難小屋前には雪解け水が出ている。
避難小屋内には人気がない。ここで小休止する。

屏風岩、涸沢方面

屏風岩、涸沢方面

槍見台

槍見台

0715 槍見台着

山荘横の槍沢方面の道から蝶ケ岳への道が枝分かれしている。最初、樹林帯の緩斜面を登り始め次第に急になる。
しかし、トレースははっきりしているのでペースはそんなに落ちないし、道も迷わない。
そのうちに手作り感がある標識があるところが槍見台だ。
槍ヶ岳が見えるのではなく、涸沢槍が見える場所というのは帰りに分かるw

稜線の分岐

稜線の分岐

1100 稜線分岐着

槍見台から尾根沿いに進むことになるが、トレースが次第に消えて行き、途中でラッセル開始となる。所々腰上までの積雪量があり苦しめられる。しかし、藤原岳で秘密トレーニングの成果が現れる!?
ラッセルを始めると急激に体力を消耗しお腹が減る。カロリーメイトとチョコレートを食べまくる。
しんどくてもトップを交代してくれる人はない。自分の道は自分で切り開かなくてはならない。
自分の人生とオーバーラップして少し涙ぐむwwwでも、負けない。恵那山の敗退続きで負けが込んでいる。
今回は負ける訳には行かない。

雪と格闘していると次第に頭上の樹林が薄くなってきて森林限界を超える。次第に積雪量も減りペースが上がる。
向こうに蝶ヶ岳のピークが見える。もう少しだ。雪に足を取られながらやっとのことで分岐に立つ。
そこから周囲を見渡してみると、ワンダフルな景色が広がる。これまでの苦労が報われた瞬間だ。

槍ヶ岳方面

槍ヶ岳方面

穂高方面

穂高方面

上高地方面 

上高地方面

山頂方面

山頂方面

蝶ケ岳ヒュッテ

蝶ケ岳ヒュッテ

1130 蝶ケ岳山頂着

稜線からは風に負けないように歩く。天気が良いのでそんなに寒くはない。いつものように洟垂れ小僧になって歩く。
ヒュッテをスルーして山頂に立つ。久々のピークだ。嬉しい。穂高の山々と槍ヶ岳も見える。
が、寒いので記念に写真を撮って直ぐに下山する。
少しだけ、長塀尾根から下りようかなと考えもしたが、雪が深くトレースが全く消えた状態であるとしたら今日中に徳沢まで下山は不可能だと思えたし、道迷いが怖いので着た道を引き返すことにした。

ダイナミックな屏風岩

ダイナミックな屏風岩

横尾の冬期小屋

横尾の冬期小屋

1400 横尾着

稜線からは自分の踏み跡を辿って下山する。つづら折のところはショートカットしたり、ふかふかなところでは走ったりした。
登りとは比べ物にならないくらいハイペースで下山する。登りの苦しみが嘘のようだw

そして程なくして横尾に着く。しかし、今日は誰にも会っていない。蝶ケ岳を独り占めだ。
帰るついでにヒュッテの冬期小屋を見学する。シャベル付の跳ね上げ戸がある。中に入って見たかったが、アイゼンを外してヘッドランプを取り出すのが面倒で、しかも休憩したら外に出るのが嫌になるのではと思ったので外観だけチェックするだけにした。

徳沢テントサイト

徳沢テントサイト

1525 徳沢着

横尾の冬期小屋の前で少し休憩する。小屋前には雪解け水がホースから出ているので有難い。冷たくてとってもおいしい。
しかし、喜びを分かち合う友はいないので、一人でニヤニヤするw
徳沢までの帰路はスローでゆっくり歩く。というか疲れが出てペースが落ちただけだ。日差しが暖かいうちに我が家に到着する。
靴とアウターを脱いでとりあえず昼寝をする。1時間くらいして起きて食事を作って食べて明日のコースを再チェックする。
そして酒はないから寝るだけ。至ってシンプルな生活だ。お休み。

2月28日(3日目)

0330 起床

今日は特に寒い。天気が良いので放射冷却が起こって随分気温が下がったようだ。Gショックの内臓の温度計では計測不能となってしまう。気合を入れて準備を済ませる。心の奥底では、昨日ピークを踏んだから徳本峠まで行けなくてもいいやと弱気になっている。

0530 出発

寒いのを我慢して嫌々出発する。昨日の疲れが抜けないせいか体が少し重たい。今日は時間に余裕があるので気が楽だ。

徳本峠分岐

徳本峠分岐

0615  徳本峠分岐着

これからいよいよ峠に進む。そして一人の足跡が見える。一昨日通った時にはない。新しい踏み跡だ。
がっかりするし、嬉しくもある。初心者の心の内が動揺しまくる。

峠への登り

峠への登り

明神岳

明神岳

霞沢岳への分岐

霞沢岳への分岐

1130 霞沢岳の分岐着

峠までの道の登りは快適だった。しかし、谷沿いを登るので雪崩に対する警戒は常にしていなければならない。
途中で大を催し、大便をする。二日ぶりのお通じだ。大きな運子がたんまりでる。
すっきりして進むも、峠手前の登りでトレースを見失い自分独自のルートを進む。
谷筋には雪崩の跡があるので尾根伝いに進むが、かなりの積雪と傾斜が急でなかなか登れない。
早くにワカンを装着しているのも関わらずに。

気合を入れつつ登り尾根に出る。しかも新しいトレース付だ。後で気が付いたが、かなり霞沢岳よりの尾根に出てしまったようだ。 徳本峠小屋に着くまで時間が掛かる。

徳本峠小屋

徳本峠小屋

西穂高岳

西穂高岳

1140 徳本峠小屋着

とにかく分岐に出るまで時間が掛かってしまい分岐からは10分で着いてしまう。
小屋が目立たない鞍部に建てられた小屋だし、私の読図力では困難なことになってしまう。
しかし、小屋を見つけたときは嬉しさ100倍である。以前のあばら家より建て替えられて小奇麗な小屋になっている。
感慨深い。振り返ると西穂が美しい。これも20年前以上前の思い出だ。
何もかも懐かしい。しかし、今の私は逞しい!?

1310 徳本峠分岐

登りと打って変わって下りは楽だ。シリセードをしながら距離を稼ぐ。実に楽チン。そういえば上りの目新しいトレースの主は霞沢岳へと進んでいた。分岐には食料のデポがあった。
この人のトレースのお陰で随分と楽をさせてもらう。感謝感謝。
下りでも誰とも会わず。マイナールートだなと感じると共に、人に会わないのが楽しい。八ヶ岳ではこうも行かない。

1420 徳沢着

若干疲れを感じて徳沢に着く。後片付けをして、軽食をとり、とりあえず昼寝をする。そして起きて晩御飯を食べる。
明日は下山するのみ。寂しさを感じつつ寝袋に入り寝る。

2月29日(4日目最終日)

0600 起床

夜半から降り続いた雪でテントの周りは雪だらけになってしまっている。しかし、分厚い雪雲のお陰で昨日の晩はぬくぬくしながら寝る事ができた。昨日の寒さとは大違いだ。今日は帰るだけなのでユックリ目の起床となった。
適当に食事をすませテントを撤収する。竹ペグを下のほうに埋めすぎて苦労する。やり過ぎは掘り起こしに面倒だw

テント撤収後

テント撤収後

0815 出発

ザックを背負って出発する。降雪のためザックのあちこちに雪が付いて重たくなる。やはりストラップ類の少ないシンプルなザックがいいのかなと思ったりする。時々落とし穴に嵌りながら歩くw

明神への帰路

明神への帰路

冬期公衆トイレの張り紙

冬期公衆トイレの張り紙

雪の河童橋

雪の河童橋
ひっそりとした河童橋前。夏の賑が嘘のようだ。

1030 河童橋着

雪の中を歩く。日曜日なのでたまーに人とすれ違う。河童橋からは対岸に渡ってウエストン碑に挨拶をしてから田代橋を渡って田代池散策と歩くが、、、ウエストン碑付近は深い雪で無駄にラッセルして体力を消耗する気にはなれないので引き返す。
田代橋を渡ろうとすると、工事中だ。工事の人に通してもらおうと思いもしたが、こちらは遊びなので河童橋に引き返す。
河童橋前の建物の軒先で休憩してタクシーを予約しておく。

雪に埋もれた車道

雪に埋もれた車道

上高地とのしばしの別れ

上高地とのしばしの別れ

雪の焼岳

雪の焼岳

工事用道路分岐

工事用道路分岐

旧釜トンネル

旧釜トンネル

釜トンネル内部

釜トンネル内部

トンネル出口

トンネル出口

1330 中の湯着

上高地のバスターミナルから車道を歩く。ただし、大正池の南端の方の工事用道路の分岐まではあまり除雪されていないので膝下までの雪を掻き分けながら進む。スノーシューの人のトレースがあるので随分楽である。前の人の踏み跡を忠実に踏みながら体力の消耗を極力抑える。
分岐を過ぎれば工事用の車両が出入りする為、きちんと除雪されているので凄く歩きやすい。ただ、凍結しているときはアイゼンを装着したほうがいいだろう。

中の湯交差点の様子

中の湯交差点の様子
安房トンネルのお陰で通年峠を超えて岐阜に 行くことが出来るようになった。

ト伝の湯

ト伝の湯

ダンプカーが走るトンネルを抜けるとそこは中の湯。現実世界に引き戻される。ホースからお湯が出ていたのでそこで久しぶりに顔を洗う。
しばらくしてタクシーが到着、中の湯を後にする。帰りのタクシー代も3000円くらい。

上高地冬期トイレ

上高地付近のトイレの場所は、大正池、中の瀬、バスターミナル、小梨平、徳沢、横尾である。明神にはないので注意が必要。
使用の際は、トイレ内に雪を入れないようにしたい。床が凍結して次の人が転んでしまうw
休憩場所は、バスターミナル付近の軒先と河童橋を渡ったところにあるホテル白樺荘の軒先が適当と思われる。汚さず綺麗に休みたい。
上高地冬期公衆トイレ(PDF)

タクシー

タクシーは地元のアルピコタクシー株式会社
料金は、沢渡の第2駐車場から中の湯まで片道約3000円。
中の湯から上高地までは冬期通行止めなので、中の湯から歩くことになる。
冬期は特に営業所にタクシーが居るとは限らないので事前予約しておいた方が確実だ。

駐車場

自家用車の駐車場所は、沢渡の橋を渡った先にある第2駐車場で冬期は無料で停められる。歩いて5分くらいのところにトイレと無料の足湯がある。
車内で仮眠をして日の出と共にタクシーを呼んで上高地入りしたい。

所見

今回、初めて冬の上高地に入り感激する。静かな佇まい。真っ白な穂高の山々。そして久しぶりにピークを踏めた。
蝶ケ岳の上りのラッセルでは苦しめられたが、無事登頂することができた。稜線の歩きは、久々に寒さで震えた。そして山々の美しさに心が震えたw
また、徳本峠ではトレースが所々消えたところではラッセルに苦しめられた。また、稜線上に出てから徳本峠の小屋を探すのに手間が掛かってしまう。もう少し、読図能力を高めないといけない。
テント生活では、水作りやトイレの問題など、いろいろ勉強となることが多く、手応えを感じる。
今後も冬期の山行を重ねて自分なりの登山スタイルを作って行こうと思う。今回は大成功であった。

以上